参議院選挙シミュレーション分析（2025年）

参院選ベースライン予測結果（10万回シミュレーション平均）

主要ポイント

自民党は伸び悩み、改選議席を大きく減らす予測。与党の改選過半数（63議席）は困難な情勢。
立憲民主党とれいわ新選組が議席を増やす一方、第3極の勢いはやや失速するも依然として高い存在感を示す。
保守票は自民党から国民民主党やその他保守系候補に流れる傾向が見られる。
第3極の動向が、選挙後の政治状況を左右する重要な鍵となる。

政党別獲得議席予測（合計）

議席構成（政党グループ別）

選挙区/比例区の議席配分

シミュレーション計算方法

• 改選124議席（選挙区74＋比例50）

• 最新の都議選結果を反映し、既成政党の伸び悩みと第3極の躍進シナリオを加味。

• 7月7日時点のデータを基準にモンテカルロ10万回シミュレーション

• 勝敗ライン：過半数獲得には63議席必要

現有議席数と改選対象（2025年選挙）

各党議席数（参議院）

会派名	現有議席	改選対象	非改選

現有議席の構成

選挙後の政治情勢シミュレーション

石破続投パターン（S-1/S-2）

• 国民民主党と「物価対策・減税協議会」設置

• ガソリン補助延長で臨時国会を乗り切る

• 支持率が30%台前半で底打ち、党内反乱は当面沈静

• 石破内閣は継続するが、重要法案は常に国民民主党との調整が必須に

石破退陣・ポスト石破（S-4）

• 選挙区で自民が25議席以下の場合、「責任論」が噴出

• 有力後継：小林鷹之・萩生田光一・野田佳彦（自公連立解消時）

• 党内混乱で政策停滞のリスク

• 次期総選挙までの「繋ぎ」政権の可能性大

野党主導の「参院多数」（S-3）

• 予算関連法案は衆院優越で成立も、重要政策で修正圧力

• 憲法改正は参院３分の２に遠く、議論停滞

• 野党間の政策調整が複雑化し、一貫性を欠く可能性

• 国民民主党が与野党の橋渡し役として存在感を高める

衆院解散・再信任（S-5）

• 秋口以降の衆院解散、もしくは解散せず政権継続。

• 低支持率での解散は党内抵抗大。

• 石破総理の「捨て身」の賭けとなる可能性。

• 政局の不安定化と市場の混乱リスク。

第3極の地殻変動（S-6）

• 既存政党への不信感から、無党派層の票が少数政党・新党へ

• 参院が細分化し、キャスティングボートを握る勢力が乱立

• 連立協議が難航し、首班指名が困難になる可能性

• 政策の一貫性が失われ、政局が極度に不安定化するリスク

選挙後の政策変化予測

シナリオ	財政政策	経済対策	外交・防衛	憲法改正
S-1 与党過半数維持	現行路線継続	小規模対策	同盟強化推進	積極推進
S-2 DPFP閣外協力	大型減税導入	物価対策強化	現状維持	議論継続
S-3 野党参院過半数	大幅修正	給付金拡大	歳出見直し	議論停滞
S-4 石破退陣	方針不明確化	大型対策	一時停滞	棚上げ
S-6 第3極地殻変動	極度に不安定化	ポピュリズム的	方針の揺らぎ	議論停止

政治情勢シミュレーションの結論

最も可能性の高いシナリオは「与党過半数割れ・国民民主党による閣外協力」パターン
この場合、石破政権は継続するが物価対策・減税が政権運営の焦点となる
野党参院過半数となった場合でも、衆院優越で予算関連法案は成立するが、重要政策に修正圧力
新たに加わった「第3極の地殻変動」シナリオは、政治の不安定化を極度に高めるリスクとして注視が必要

ベースライン予測

選挙後参議院全体勢力図（ベースライン）

総議席数: 248議席

過半数: 125議席 / 憲法改正発議に必要な3分の2: 166議席

勢力別議席数（ベースライン）

現有議席と予測議席の比較（ベースライン）

会派別議席数変化

議席増減表

会派名	現有	予測	増減

悲観シナリオ（直近情勢を反映）

選挙後参議院全体勢力図（悲観シナリオ）

総議席数: 248議席

過半数: 125議席 / 憲法改正発議に必要な3分の2: 166議席

勢力別議席数（悲観シナリオ）

現有議席と予測議席の比較（悲観シナリオ）

会派別議席数変化

議席増減表

会派名	現有	予測	増減

政策分野	自由民主党	立憲民主党	国民民主党	日本維新の会	参政党	れいわ新選組
消費税法人税・所得税とのバランス	当面維持 (10%) 全世代型社会保障の重要な財源として堅持。軽減税率は見直しの対象。	時限的に0%へ減税インフレが収束するまでの時限措置。富裕層への課税強化とセットで提案。	5%へ減税トリガー条項凍結解除と合わせ、恒久的な消費減税を主張。	段階的に5%へ減税社会保障制度改革とセットでの減税を主張。「教育国債」で財源を確保。	0%へ減税経済成長を最優先し、消費税は0%に。将来的には廃止も視野。	廃止消費税は廃止し、法人税の累進課税強化や富裕層への資産課税で代替。
賃金上昇持続的な賃上げの実現	賃上げ促進税制の強化大企業から中小企業への価格転嫁を促進。三位一体の労働市場改革を推進。	最低賃金1500円公的セクター（介護・保育等）の賃金引き上げを先行。中小企業への社会保険料負担を軽減。	給料が上がる経済人への投資を拡大し、スキルアップ支援を強化。同一労働同一賃金の徹底。	解雇規制の緩和労働市場の流動性を高め、成長産業への人材移動を促進する。リカレント教育の無償化を行う。	国内産業保護減税と規制緩和で国内企業の競争力を強化し、自然な賃金上昇を目指す。	中小企業支援と公契約社会保険料の事業者負担を時限的にゼロ。政府・自治体の事業を請け負う企業の労働者に適正賃金保証。
エネルギー政策安定供給と脱炭素	原発の最大限活用安全性が確認された原発の再稼働・次世代革新炉の開発を推進。再エネも拡大。	原発に依存しない省エネと再エネの導入を加速。原発の新増設・建て替えは認めない。	多様な選択肢を追求再エネ主力化を目指し、安全基準を満たした原発の活用も選択肢として維持。	原発フェードアウト原発は段階的に縮小し、再エネへの転換を加速。発送電分離の徹底。	国産エネルギー推進食料自給率向上と合わせ、エネルギー自給率の向上を重視。原発は選択肢の一つ。	即時原発禁止全ての原発を停止し、再エネ100%を目指す。エネルギーの地産地消を推進。
財政規律 PB黒字化目標	目標を堅持 2025年度のPB黒字化目標を堅持し、経済再生と財政健全化の両立を目指す。	柔軟に見直し PB黒字化目標は一旦凍結し、経済状況に応じた機動的な財政出動を優先。	目標にこだわらない積極財政による経済成長を優先。PB黒字化は成長の結果として目指す。	改革実行で達成徹底した行財政改革（身を切る改革）で、財源を生み出し、PB黒字化を実現。	プライマリーバランス制約からの脱却国益に資する投資は国債発行で賄う。将来世代への負担を考慮した財政運営。	積極財政に転換 PB黒字化目標破棄。デフレ脱却まで国債を大規模に発行し、財政出動を行う。

選挙結果総括とシミュレーション比較

予測と結果の比較

政党名	予測 (ベースライン)	予測 (悲観シナリオ)	実際の結果	差異 (vs ベースライン)

的中した点

与党（自民・公明）が改選過半数を割り込むという大きな潮流を正確に予測した。
既成政党への不満の受け皿として、国民民主党や参政党といった「第3極」が大きく躍進する構図を捉えることができた。
立憲民主党が与党への批判票の受け皿になりきれず、議席が伸び悩む展開を予測できた。

課題となった点

自民党の敗北は想定していたものの、実際の結果（39議席）はベースライン予測（40議席）をも下回る厳しいものであった。
国民民主党（17議席）と参政党（14議席）の躍進は、シミュレーションの想定（それぞれ15議席、12議席）をさらに上回る規模であった。
れいわ新選組の議席を過大評価（予測6議席に対し結果3議席）し、日本維新の会を過小評価（予測6議席に対し結果7議席）するなど、第3極内での力学の読み違いがあった。

全体の総括

今回のシミュレーションは、「自民党の一強体制が揺らぎ、政治が多極化する」というマクロなトレンドを正確に捉えることができた。特に、選挙前の段階で「悲観シナリオ」として提示した議席予測が、実際の結果に非常に近いものとなった点は、情勢の厳しい見方が現実的であったことを示している。

一方で、個別の政党、特に躍進した第3極の中での議席配分の予測には課題が残った。これは、従来の政党支持の枠組みを超えた、有権者の新しい選択の動きを完全にモデル化することの難しさを示唆している。今後は、無党派層や特定の政策課題に強く反応する層の動向を、より精密に分析モデルに組み込むことが重要となるだろう。

今後の政治情勢レポート

一強時代の終焉と多極化時代の幕開け

参議院で自民党が単独過半数を失ったことは、日本の政治における歴史的な転換点となる。これにより、長らく続いた「自民一強」体制は事実上終焉を迎え、複数の勢力が拮抗する「多極化時代」へと本格的に移行する。今後は、国民民主党や参政党、日本維新の会といった第3極の勢力が、法案ごとに賛否を決めるキャスティングボートを握ることになり、国会運営はこれまで以上に複雑化・流動化することが必至である。

過半数割れした自民党の今後の動向シミュレーション

A) 国民民主党との連立・閣外協力

確率: 低

過半数回復のため、最も現実的な選択肢。国民民主党が掲げる減税や経済対策を受け入れる形で、部分連立や閣外協力を模索する。石破政権は当面維持されるが、政策の主導権の一部を譲渡することになり、党内保守派からの反発も予想される。

B) 少数与党での政権運営

確率: 中

連立協議が不調に終わった場合、少数与党のまま政権運営を続ける。重要法案の成立は極めて困難となり、野党や第3極の協力がなければ予算案の通過すら危ぶまれる。政権は常に行き詰まりのリスクを抱え、早期の衆院解散・総選挙につながる可能性が高い。

C) 党内抗争と総裁交代

確率: 高

選挙敗北の責任を取り、石破総理が退陣に追い込まれるシナリオ。党内は後継総裁を巡る権力闘争に突入し、政治的な空白が生まれる。新総裁の下で人心一新を図るが、党の分裂やさらなる支持率低下のリスクもはらむ。

政策分野	自由民主党	立憲民主党	国民民主党	日本維新の会	参政党	れいわ新選組
消費税法人税・所得税とのバランス	当面維持 (10%) 全世代型社会保障の重要な財源として堅持。軽減税率は見直しの対象。	時限的に0%へ減税インフレが収束するまでの時限措置。富裕層への課税強化とセットで提案。	5%へ減税トリガー条項凍結解除と合わせ、恒久的な消費減税を主張。	段階的に5%へ減税社会保障制度改革とセットでの減税を主張。「教育国債」で財源を確保。	0%へ減税経済成長を最優先し、消費税は0%に。将来的には廃止も視野。	廃止消費税は廃止し、法人税の累進課税強化や富裕層への資産課税で代替。
賃金上昇持続的な賃上げの実現	賃上げ促進税制の強化大企業から中小企業への価格転嫁を促進。三位一体の労働市場改革を推進。	最低賃金1500円公的セクター（介護・保育等）の賃金引き上げを先行。中小企業への社会保険料負担を軽減。	給料が上がる経済人への投資を拡大し、スキルアップ支援を強化。同一労働同一賃金の徹底。	解雇規制の緩和労働市場の流動性を高め、成長産業への人材移動を促進する。リカレント教育の無償化を行う。	国内産業保護減税と規制緩和で国内企業の競争力を強化し、自然な賃金上昇を目指す。	中小企業支援と公契約社会保険料の事業者負担を時限的にゼロ。政府・自治体の事業を請け負う企業の労働者に適正賃金保証。
エネルギー政策安定供給と脱炭素	原発の最大限活用安全性が確認された原発の再稼働・次世代革新炉の開発を推進。再エネも拡大。	原発に依存しない省エネと再エネの導入を加速。原発の新増設・建て替えは認めない。	多様な選択肢を追求再エネ主力化を目指し、安全基準を満たした原発の活用も選択肢として維持。	原発フェードアウト原発は段階的に縮小し、再エネへの転換を加速。発送電分離の徹底。	国産エネルギー推進食料自給率向上と合わせ、エネルギー自給率の向上を重視。原発は選択肢の一つ。	即時原発禁止全ての原発を停止し、再エネ100%を目指す。エネルギーの地産地消を推進。
財政規律 PB黒字化目標	目標を堅持 2025年度のPB黒字化目標を堅持し、経済再生と財政健全化の両立を目指す。	柔軟に見直し PB黒字化目標は一旦凍結し、経済状況に応じた機動的な財政出動を優先。	目標にこだわらない積極財政による経済成長を優先。PB黒字化は成長の結果として目指す。	改革実行で達成徹底した行財政改革（身を切る改革）で、財源を生み出し、PB黒字化を実現。	プライマリーバランス制約からの脱却国益に資する投資は国債発行で賄う。将来世代への負担を考慮した財政運営。	積極財政に転換 PB黒字化目標破棄。デフレ脱却まで国債を大規模に発行し、財政出動を行う。